信じるということ。生きるということ。家族というもの。を考えさせられる。
始めの方はトンデモ姉のお陰でどんな展開になるのか、ハラハラさせられっぱなしだった。
そんな姉をはじめとする家族に翻弄される主人公の男の子は、さまざまな人と出会い、別れ、独自の処世術を身につけながら青年、大人になっていく。
家庭環境は複雑で、恨めしく思いつつも、持って生まれた容姿等でとくに劣等感を抱かずにむしろ人より多めの優越感と共に成長する主人公。齢を重ねるにつれ見えてくる自身の劣化と自身を取り巻く状況の悪化。それは痛々しい。
しかし終盤にあんなに憎んでいた姉こそが彼の状況打開のキーパーソンになっていた。あんたのせいでと恨み続けた姉は終盤、劇的な改革とでも呼ぶべき変化を見せ、別人のようになっている。信じること、が姉を変えた。
途中で出てくる新興宗教の正体には、人々のよすがについての示唆と悩む人への温かい寄添いを感じる。
人間、家族のある意味での再生を清々しく描いた作品だ。
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